労働時間の管理は、会社の責任になります。
たとえば、元従業員から、未払賃金や残業代の請求をされたとき、その元従業員の労務提供の事実のうち労働時間が争点になることはよくあります。
労使双方で、労働時間の主張に食い違いがあって、争いの場が訴訟に持ち越されると、会社側が、元従業員の労働時間について主張、立証する責任を負い、それが成功しないと、労働時間については、会社が敗訴するということにもなりかねません。
そこで、普段の労務管理の一環として、従業員の労働時間の管理に十分な対策をすることがとても重要です。
具体的には、タイムカードや業務日報、自己申告などが簡単に管理できる手段ですが、簡単な分、従業員が信頼できることが担保されていないと、虚偽の労務提供時間を申告される恐れがあります。
過去にあった事例では、従業員複数が共謀して、他人のタイムカードを都合よく押し合ったり、業務日報に虚偽の事実を申告していた事例がありました。
このように従業員の主体性に完全に委ねることは危険な側面もあります。
そこで、もう少し客観的に時間が管理できる方法を模索することが重要です。
たとえば、会社のパソコンを一元的に管理できるのできるのであれば、従業員個々に貸与したりしているパソコンの電源を入れた時間、電源を落とした時間を記録できるようにするとか、入退社を個々のパソコンからメールで管理者に知らせるとか、業務日報を時間の管理ができるパソコンで管理するとか、そういった形で客観的な記録として残る方法をご検討ください。
この労働時間の管理は、従業員からの残業代の不当請求に対する対策にもなります。
実際には残業していないのにしたことにして請求をしてきたり、本来なら残業させ得る必要もないのに残業している場合、会社にどれだけ残っていたのか正確に記録できます。
当事務所では具体的に、顧問先会社に労働時間の重要性を伝え、具体的に、従業員からの不当な請求に備えるセミナーを開催しておりますので、お気軽にご相談ください。